黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
あのタワマンパーティの一件だけでも、絶対に関わりたくない人だと私の中にはインプットされている。

「お兄さんは本当に頭のいい人だけどね」

「所長もいい人だし、なんであの人だけああなのか」

今度は三人が揃って、憂鬱そうにため息をつく。
よほど普段から彼には苦労させられているようだ。

「あの。
お兄さん、って」

憲吾先生はゆくゆくは自分が事務所を継ぐような言い草だったが、お兄さんがいるならそうはならないのではないだろうか。

「ああ。法嗣(のりつぐ)先生――憲吾先生のお兄さんはアメリカで弁護士をしてるの。
弁護士としても人格もとてもよくできた方よ」

「法嗣先生が跡を継いでくれるのなら事務所も安泰だけど、帰ってこられるつもりはないらしいしね……」

はぁーっとまた三人が揃ってため息をつき、今度はまともなところに就けたと思っていたがぬか喜びだった気がしてきた。

「所長も憲吾先生には見切りをつけているのか、留学させなかったもんね」

「だからって陽川先生を敵視するのはどうかと思うけど!」

晴貴さんはアメリカに留学して資格を取り、向こうで経験も積んできたと聞いている。
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