黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「まさか陽川先生に大事に想うような女性ができるとはね。
一生、独身かと心配していたんだよ」

はぁっと先生が物憂げにため息をつく。

「やだな、僕にだって結婚を考えたい女性くらいできますよ」

晴貴さんは軽く返しているが、少し引っかかった。

「この人はいろいろ面倒くさい人間だけど、よろしくお願いします」

私の手を取り、松本先生がうん、うんと頷く。
それはまるで孫を案じているかのようだった。

「はい。
こちらこそ、よろしくお願いします」

彼の手を握り、笑顔を作る。
面倒くさい……は、わかるかも。

挨拶回りが終わったあと、お手洗いへ行く。
ビルの共用なのでお店を出ると急に静かになり、別の世界に来たような気がした。

用を済ませて手を洗いながらふと考える。

松本先生は晴貴さんが一生独身かと心配していたと言っていた。
しかし、言い方は悪いが晴貴さんほどのイケメンで社会的ステータスも高く、優しくて気遣いもできる人間、世の女性が放っておくはずがない。

なのにずっと独身だと思われていたってどういう意味なんだろう?
晴貴さんの理想が高くて会う女性がいないとか?
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