黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
それって特別扱いだったんだろうか。

「夜桜さんも気をつけなよ」

その忠告は私が晴貴さんの秘書だからかと思ったけれど。

「憲吾先生、女癖が悪いからさ」

「そうそう。
だから所長、憲吾先生には絶対、女性をつけないし」

「あー……」

口々に言われ、私も経験があるだけに遠い目になった。

「……気をつけ、ます」

曖昧な笑顔で彼女たちに答える。
まさか、すでに口説かれましたとは言えない。

「パワハラも酷いけどね」

「前の秘書もそれでこのあいだ、辞めたばっかりだし」

「『もうお前には秘書をつけない!』って所長、かなりお怒りだったもんね」

三人は苦笑いしているが、そのパワハラの現場に立ち会っていた身としてはどう反応していいのか悩む。
仕事を押しつけられ、あんなふうに怒鳴られるのがいつもなら、辞めたくなるのは当然だ。

「大丈夫、憲吾先生以外はまともだから」

「大御所先生も癖強なだけで常識はあるし。
そもそも、普段は事務所にいないし」

「所長も憲吾先生対策はやってくださってるわ」

若干、不安になっている私をフォローしてきたが、こんな話を聞いてしまったら無理がある。
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