黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
それとも……晴貴さんに問題がある?

「面倒臭いとか言ってたしな……」

私が見ているのは彼の表の顔で、裏は別人なんだろうか。

お手洗いから出てきたところに、憲吾先生が立っていた。

「お、お疲れ様です」

なんと声をかけるべきかわからず、それだけ口にして通り過ぎようとする。

「待てよ」

けれど腕を掴んで止められた。

「なあ」

壁に両腕をつき、彼は私をその中に閉じ込めて逃げられないようにした。

「オレは振っておきながら、陽川とは付き合うんだ?」

嫉妬で醜く歪む目で、憲吾先生が私を見下ろす。
私がいつ、彼を振ったのか考えたが、タワマンパーティのあれを振ったと曲解しているのだろう。

さりげなく周囲を見渡し、誰か来ないか祈った。
とりあえずおとなしくして、彼の感情を逆なでしないのが得策なのはわかっている。

「なんで陽川なんだよ、オレのほうがいい男だろ」

「は?」

自信満々に言われ、無意識に真顔で否定する言葉が一音で出ていた。

「『は?』ってなんだよ、『は?』って!」

憲吾先生が激高し、やらかしたと悟った。
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