黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「よかったらこのまま、ふたりで抜けません……か。
ああいや!
別に下心とかない……とは言えないんです、が」

慌てて否定したかと思ったら、すぐにしゅんと俯きながらも自信なさそうに眼鏡の奥からちら、ちらっと私をうかがってくる。
先ほどまでの優秀な弁護士といった姿からは想像できない彼に、心臓が撃ち抜かれた……気がした。

それに今までの様子から演技でなければ彼は誠実な人間なんだろうとわかる。
少なくとも恥ずかしそうに下心まで告白してくる彼は、演技をしているように見えなかった。

「いいですよ」

承知したのは私も彼に興味が出たからだ。
あと、彼とだったらそういう関係になってもいいかもと思っていた。

一応、篠木さんに断って会場を出る。

『へえ。
意外とやるじゃん』

そう言って少し離れたところで待つ陽川さんを値踏みする目に不快感を覚えたが、気づかないフリをした。

「誘っておいてなんですが、どこ、行きます?
飲めるところがいいなら感じのいいバーを知っていますし、軽く食べたいというのなら穴場のイタリアンバルなどもご案内できますが」

エレベーターの中で陽川さんが聞いてくる。
< 17 / 205 >

この作品をシェア

pagetop