黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「夏初を解雇するとかよっぽどのことがなければないよ」

「そのよっぽどのことですって」

晴貴さんは呆れ気味だが、あれはそれくらいのミスだったのだ。
本当に斉藤さんが気づいて止めてくれてよかった。

「まあ、夏初はもう同じ失敗はしないって反省したんだろ?
だったらデザート食べて元気出せ」

店員に頼み、晴貴さんがメニューを持ってきてもらう。

「もう絶対に同じ失敗はしません。
確認、大事」

「うん、それでいい」

笑って彼が差し出すメニューを、ありがたく受け取った。

美味しいデザートで気持ちを切り替え、午後からも仕事に励む。

「夜桜さん、ちょっといい?」

「はい?」

斉藤さんから控えめに呼ばれて立ち上がる。
彼女はどこか、びくびくしているように見えた。

彼女が私を連れていったのはこのあいだ栗下先生が謝罪してきた小会議室で、その様子から嫌な予感しかしない。

「さっきはその、きつく言いすぎたと、……思う」

私と視線をあわせず、彼女はなぜか謝ってきた。

「本当にごめんなさい。
次からは気をつけるから。
話はそれだけ。
じゃあ」

「あ……」

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