黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
一方的に話し、斉藤さんは逃げるように会議室を出ていった。

「はぁーっ」

ひとりになった途端、大きなため息が出る。

「晴貴さんだよね、きっと」

お昼に斉藤さんから注意されたと私が落ち込んでいたから、彼女になにか言ったに違いない。

「こういうのは全然、嬉しくないんだけどなー」

もう一度、ため息をついて部屋を出る。
帰ってから晴貴さんときちんと話をしようと決めた。

少し残って仕事をしようとしたが、斉藤さんから帰っていいと言われた。
たぶん、晴貴さんを気にしているのだと思う。

「だからさー」

帰って食事を作りながら愚痴が漏れた。
私になにか言えば晴貴さんからクレームを受けるとなると、誰も私を注意しなくなる。
晴貴さんを恐れ、私に気を遣うようになったら仕事もしにくくなる。

「わかんない人じゃないと、思うんだけどなー」

それくらい、晴貴さんなら理解しているはずだ。
なのにこんな強引な手に出る彼が、わからなかった。

「ただいまー」

少し遅く帰ってきた晴貴さんがいつものようにキスしようとしてきたが、今日は拒んだ。

「夏初?」

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