黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「……ごめん」

私の頭の上で彼が、深い息をつく。

「でも僕はこれくらい、本当に夏初を傷つけたくないんだ。
わかってくれると嬉しい」

黙ってこくんと頷いた。

「ありがとう」

きゅっと一度、力を入れたあと彼が私を離す。
晴貴さんの気持ちは私には酷く重かった。
けれどそこまで深く愛してくれる彼に閉じ込められて暮らすのも悪くないと思っている私もいた。



翌週、事務室内で憲吾先生と晴貴さんが言い争っているのを、誰もがはらはらしながら見守っていた。

「どうしてこの案件を引き受けたんですか。
今、夜桜さんがどこと争っているのかご存じないのか」

静かだが、強い怒りのこもった声で晴貴さんが憲吾先生に詰め寄る。

「だからー、夜桜が訴えてるのは会社。
彼女じゃ、ない」

あきらかに面倒くさそうに憲吾先生が返す。

「その篠木さんへの訴訟も視野に入れて動いています。
情報は共有しているはずです」

「でも彼女は横領なんてしてないって言ってるし、なのに疑われて困ってるから助けてくれって頼まれたんだぞ。
彼女は横領犯じゃないんだから、別件で問題ないと判断した」

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