黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
おかしそうに晴貴さんは提案してくれたが、そうじゃないのだ。
飲み会でステーキだから価値があるというか。
その辺の感覚を説明するのは難しかった。

「夏初」

「はい?
……んんっ」

部屋に帰り、靴も脱がないうちに晴貴さんから名を呼ばれて顔を見上げた途端、いきなり唇が重なった。
唇を割って舌が侵入してきて、呼吸さえ奪うようにがっつり貪られる。
頭がくらくらして私が崩れそうになった頃、ようやく彼は唇を離した。

「……消毒」

彼の親指が、自身が濡らした唇を拭う。

「アイツに触られたところ、綺麗にしないと」

「えっ、あっ」

私の顔を両手で挟み、彼は汚れを落とすようにごしごしと擦った。

「特にここ」

服の上から彼が、心臓の位置に口づけを落とす。

「全部僕で上書きして、綺麗にしてやるからな……」

唇の端を僅かに持ち上げてうっすらと笑う晴貴さんの、眼鏡の奥の瞳には嫉妬の仄暗い炎が燃えていた。

「……はぁっ、ああっ、……んんっ、……もう、無理……!」

何度目かの絶頂を迎え、きつく晴貴さんの腕を掴んで身体を震わせる。
彼も同時に達していた。

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