黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
第七章 僕だけしか見えないようにしてしまおうか
あれから晴貴さんは本気で、憲吾先生を暴行で訴えるべく準備を進めている。

「憲吾先生も頭を下げて謝ればいいのに。
そしたら許してくれる……よね?」

壁に寄りかかり、コーヒーを飲んでいた栗下先生が上目遣いでうかがってきた。

ここでは忙しくないとき、十五分程度のおやつタイムがあったりする。
若手の先生方は事務室奥のパーティションで区切られた場所に机を並べており、よくこうやって雑談したりした。

「許すわけないでしょ、あんなことされておいて」

斉藤さんの言葉に女性陣が同意だと頷く。

「だいたい、夜桜さんが許しても陽川先生が許すと思ってるの?」

「あー……。
ないな」

しばらく天井を見上げて考えていた栗下先生だが、すぐに視線を戻して困ったように笑った。
そのタイミングでドアが開き、晴貴さんが入ってくる。
話題が話題だっただけに、みんな晴貴さんの顔を見ていた。

「どうかしたのか」

意味もわからず注目され、怪訝そうに彼が聞いてくる。

「あの。
栗下先生が憲吾先生も謝ればいいのにとか言い出して」

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