黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「黙ってたら話すまで問い詰められるに決まってます」

「うん、それはそうだな……」

反論の余地がないせいか、諦めたかのように彼は壁に寄りかかった。

「まあ、憲吾先生が謝るとかないのも、あの陽川先生が許さないのもわかるんだけどさ」

先ほどの恐怖を思い出しているのか、カップの口を撫でながら栗下先生がぼそぼそとしゃべる。

「でも、俺だったら許してくださいって泣いて懇願する。
陽川先生と絶対、やりあいたくないもん」

想像しているのか暗い顔になり、彼は残りのコーヒーを飲み干した。

「あー、わかります。
陽川先生相手にしたら、弁護士辞めたくなりそう。
自信崩壊で」

大内先生が嫌そうに顔を顰める。

「だろ?
陽川先生相手の裁判回避できるんなら、這いつくばって靴を舐めてもいい」

「さすがにそれは言いすぎ……でもないですね」

先生方は頷きあっているが、そこまで晴貴さんって怖いんだろうか。

「えっと……」

「夜桜さん。
陽川先生の辞書にはね、容赦という字がないの」

困惑している私の肩を両手で掴み、説明してきた大内先生の目は本気だった。

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