黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「アイツは夏初がどんな思いをしたのかわかっていない。
謝ればいい?
そんなもので許されるほど、軽いと思ってるのか」

吐き捨てるように言い、晴貴さんは憎々しげに顔を歪めた。

「夏初は憲吾先生を許す必要はない。
栗下先生も、だ」

じっと私を見つめる、レンズの向こうの瞳には強い怒りの炎が燃えさかっている。

「僕は憲吾先生を訴える。
これは今後、憲吾先生が夏初に手出しできないようにするために必要なことだ」

「……はい」

彼に言い含められ、それ以上は反対できずに了承の二文字を紡いだ。

「夜桜さん、ちょっといい?」

事務室に戻ったら栗下先生が待っていた。

「はい、いいですけど……?」

わけもわからぬまま彼に小会議室へ連れていかれる。

「さっきはごめん!」

ふたりきりになった途端、勢いよく頭を下げられて困惑した。

「あのー?」

「あんな怖い思いしたのに憲吾先生を許してやれとかオレ、無神経なこと、言った。
所長からお叱りを受けて、自分がいかに浅はかだったのかわかった。
本当にごめん」

頭も上げず、彼が一気に捲し立てる。

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