黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「だいたい、〝等〟ってなんだよ、〝等〟って。
なんか雰囲気で書いてるのがバレバレなんだが!」

耐えられなくなったのか晴貴さんが膝を叩いてゲラゲラ笑い出し、困惑した。
これってそんなに、酷いんだろうか。
確かに提示された条件は酷いけれど。

「これ書いたの、誰?」

笑いすぎて出た涙を、眼鏡を浮かせて指の背で拭い、晴貴さんは書類を改めて確認した。

「あー、あそこの法律事務所ね。
憲吾先生とオトモダチの」

晴貴さんの声には軽蔑が含まれているが、その気持ちはわかる気がする。

「しかしこれ、本当に典型的な悪い和解提案書の見本として、栗下先生たちの教材にしたいレベルだな」

また書類に目を通し、晴貴さんがおかしそうに笑う。

「えっと……。
後学のために、しっかり読んでもいいですか」

「いいが、不快になるだけだぞ?」

内容が内容だけに晴貴さんが心配そうに聞いてくる。

「その、陽川先生が大笑いするほどの酷い和解提案書に興味があって」

教材にしたいレベルで最悪だと言っていた。
これは是非とも、きちんと読んでみたい。

「夏初は勉強熱心だな。
よし、僕が丁寧に解説してやる」

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