黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「でも、私が噛みついて怪我させてますし……」

私のほうこそ憲吾先生に治療費を払わないといけないのではと不安だ。

「夏初は憲吾先生から会議室に閉じ込められ、しかも口を塞いで拘束され、危険を感じて噛みついたんだろ?
だったら夏初に非はないし、悪いのはあちらだ」

「え、けど噛みつかなかったら歯は無事だったわけですが」

憲吾先生に治療費を払う必要がないというのは納得するが、私の歯は自業自得な部分が大きい。

「憲吾先生に襲われて噛みついたんだろ?
だったら原因はあちらにある」

晴貴さんがさらに説明してくれる。
そうなのか。
法律の世界は面白い。



私を会議室に閉じ込めた件は出張から帰ってきた所長に報告され、憲吾先生は出勤停止となった。

「新しい事務所が開くまでは解除する気はないって言ってたし、これで一安心だな」

今日も晴貴さんとふたり、彼のマンションで食卓を囲む。
少し前に部屋を引き上げてこちらに越していた。

「あとは夏初のご両親にご挨拶したいんだが……予定があわないんだよなー」

お味噌汁を飲んだ晴貴さんがため息をついて笑うしかできない。

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