黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
とにかく母が忙しくて予定があわないのだ。
父は普通に会社員だから土日休みなので問題ないのだが、……母が。

母は英会話教室を開いているのだが、顔が広くあちこちのボランティア団体などに関わっている。
おかげで晴貴さんが休みの土日に空いていることが少ないのだ。

「まあ明日、父が出張ついでに会いに来る予定ですし」

「そうだな」

電話で許可は取ったしわざわざ会いに来る必要はないと思うのだが、お盆くらいにしか帰らない娘がいきなり、転職なんてしたので心配らしい。

晴貴さんはお父さんに気に入ってもらえるだろうかと気にしているが、父はよくも悪くも普通の人なのだ。
きっと明日は穏やかに食事をして終わりだろうと思っていたのだが――



「来ちゃった」

父の背後からひょっこりと顔を出し、語尾にハートがつきそうな勢いで母にかわい子ぶりっこな感じで言われても、困る。

「いや、『来ちゃった』って……」

背後に立つ晴貴さんを振り返る。
今日は調整して少し早く仕事を上がり、事務所のあるビル下で父と待ち合わせをしていたはずだった。
なのになぜか、父と一緒に母がいる。

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