黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
興味本位といった空気を醸し出しているが、晴貴さんを調査しているのはみえみえだ。

「ええ。
たまに、ですが」

晴貴さんもわかっているのか、綺麗な笑顔で母に答えた。

「へー。
お年の割に素敵なお店をご存じなのね」

にっこりと笑う母が怖い。
若いのにこんな高級そうなお店を知っているなんて、まともな仕事ではないのでは?と暗に言っている。

「以前、担当したお客様に連れてきていただいて。
少々背伸びした店ではありますが、今日はお母様たちに喜んでいただきたくてこちらを選びました」

「まあ、お母様なんて」

母と晴貴さんがわざとらしく声を上げて笑う。
すでに水面下でバチバチ火花が散っていて、この先が不安だ……
そのうち飲み物が出てきて、すでに第一ラウンドは終了しているが晴貴さんを紹介する。

「こちら、陽川晴貴さん。
私の上司で、か、彼氏!です!」

彼氏なんて言うのは気恥ずかしく、無駄に力が入った。

「電話では一度、お話しさせていただきましたが、改めてはじめまして。
夏初さんとお付き合いをさせていただいております、陽川です」

礼儀正しく晴貴さんが頭を下げる。

「夏初の父です」

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