黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「……あ、ああ。
はい、鹿野谷法律事務所です……」

三コール目で我に返ったひとりが受話器を取る。
同時に音が、戻ってきた。

「と、とにかく!
このオレがミチルを雇うって決めたんだ!
反対は受け付けないからな!」

逆ギレして喚き散らし、憲吾先生は事務室を出ていった。

「騒がせて申し訳ない」

今日も綺麗な姿勢で頭を下げ、晴貴さんがみんなに謝る。

「いえ。
悪いのは陽川先生じゃないので」

「てか、憲吾先生酷いです!
夜桜さんを疑うなんて!」

ひとりの抗議でそうだそうだと声が上がり、胸がじんと熱くなった。

「そうですよ。
お茶もコーヒーも飲み放題と聞いて、本当にタダなんですか?って目を輝かせていた夜桜さんが横領とかありえません」

うん、前の会社はお茶代を徴収されていたが、ここはバリスタマシーンまで完備されていてカフェラテも抹茶オレも、しかもタダで飲めると聞いて感動しましたが?

「毎日、外ランチとか贅沢すぎますとか怯えていた夜桜さんですよ?
横領とかできるわけないじゃないですか」

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