黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
母は黒豆のブラマンジェをつつきながらご機嫌だ。
「お取り寄せもできるみたいなので今度、お送りしましょうか」
「本当に?
嬉しいわ」
晴貴さんの提案に喜んでいる母の声からは棘が抜けていた。
先ほどの私の言葉でようやく、安心したようだ。
デザートを食べ終わってゆっくりお茶を飲んでいたら、急に晴貴さんが改まって何事かと思う。
「その。
最後になってこんなことを言うのもなんだとは思うのですが。
夏初さんとは結婚を前提にお付き合いさせていただけたらと思っております。
よろしくお願いいたします」
「えっ、あっ、その、えっと」
いきなり彼が結婚とか言い出し、慌ててしまう。
「まあ!
まあまあまあまあ」
誠実に晴貴さんから頭を下げられ、みるみる母の顔が輝いていく。
「陽川さんなら安心して夏初ちゃんを任せられるわ。
ねえ、お父さん?」
先ほどまであれほど晴貴さんを追求していた母の言葉とは思えず、自分の耳を疑った。
「ああ」
場を仕切り直すように小さく父が咳払いし、母も姿勢を正す。
「うちの娘をよろしくお願いします」
父と母が揃って晴貴さんに向かって頭を下げる。