黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「はい。
任せてください」
再び晴貴さんがお辞儀をし、外堀を埋められたと悟った。
「今日は楽しかったわ。
今度は福岡にも遊びに来てね」
あれほど晴貴さんを敵視していたとは思えないほど上機嫌な母と父はタクシーでホテルへ帰っていった。
母は明日、ひとりで気ままにこちらを観光するらしい。
それを見送り、私たちもタクシーに乗り込む。
「あそこで結婚の話をしなくても」
つい、口をついて不満が出てくる。
私に事前の説明はなく、完全に不意打ちだった。
「夏初がいつまでも婚姻届にサインしてくれないから、外堀から埋めようと思って」
「うっ」
いたずらっぽく言われて息が詰まる。
「いやまだプロポーズされてませんし……」
「でもそれ、まだそのままだよね」
「うっ」
指された左手薬指を隠していた。
いつぞや右から左に移し替えられた指環はまだ、そのまま左手に鎮座している。
「もうご両親にはご挨拶したし、あとは夏初がサインしてくれたらいいだけなんだけど」
レンズの向こうで目尻を下げ、彼がにっこりと笑う。
しかしその笑顔が胡散臭く見えるのは私の気持ちの問題だろうか。
任せてください」
再び晴貴さんがお辞儀をし、外堀を埋められたと悟った。
「今日は楽しかったわ。
今度は福岡にも遊びに来てね」
あれほど晴貴さんを敵視していたとは思えないほど上機嫌な母と父はタクシーでホテルへ帰っていった。
母は明日、ひとりで気ままにこちらを観光するらしい。
それを見送り、私たちもタクシーに乗り込む。
「あそこで結婚の話をしなくても」
つい、口をついて不満が出てくる。
私に事前の説明はなく、完全に不意打ちだった。
「夏初がいつまでも婚姻届にサインしてくれないから、外堀から埋めようと思って」
「うっ」
いたずらっぽく言われて息が詰まる。
「いやまだプロポーズされてませんし……」
「でもそれ、まだそのままだよね」
「うっ」
指された左手薬指を隠していた。
いつぞや右から左に移し替えられた指環はまだ、そのまま左手に鎮座している。
「もうご両親にはご挨拶したし、あとは夏初がサインしてくれたらいいだけなんだけど」
レンズの向こうで目尻を下げ、彼がにっこりと笑う。
しかしその笑顔が胡散臭く見えるのは私の気持ちの問題だろうか。