黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
もう遅くなっていたし、今日中に終わらせないといけない要件もないので直帰になった。

晩ごはんは作ると言ったのだが、警察に行って疲れただろうから出前を取ろうと晴貴さんが提案してくれ、ありがたく乗る。

頼んだピザが来るまでに着替えに行こうとしたらソファーに座るように言われた。
隣に腰を下ろしたが、彼はどこか思い詰めているようで胸がざわめいた。

「夏初がつらい思いをしたのは理解しているつもりだった」

なにを言っているのだろうと一瞬、考えて憲吾先生の件だとピンときた。

「今日、警察であのときのことを再現したとき、僕から軽く拘束されただけで夏初の身体は震えていた」

そんなの、自分でも気づいていなかった。
私に触れた晴貴さんだからこそ、わかったのだろう。

「僕が思うよりずっと、怖い思いをしていたんだな」

そっと彼の両手が私の手を取る。
眼鏡の向こうの目は、泣き出しそうに歪んでいた。

「すぐに助けに行けなくてごめん」

「晴貴さんが悪いわけじゃないので」

あのときも散々、詫びてくれたのにまた彼が詫びてくれる。
こういう彼だから一緒にいて、安心できるのも知っている。

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