黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「ごめん。
夏初も不安だよな」

申し訳なさそうに謝られ、ううんと首を振る。

「晴貴さん」

振り返り、じっと彼を見上げた。
こんなことを言うのは恥ずかしい、しかし自分の気持ちはちゃんと伝えたい。

「あのね」

けれどやはりどこか気まずくて、視線は胸もとへと落ちていた。

「晴貴さんが帰ってくるまで、晴貴さんの温もりを覚えていられるように……」

これ以上は顔が燃えるように熱くなって出てこない。
晴貴さんは黙って、私がその先を言うのを待っている。

「……今日はいっぱい、愛してほしいな」

勢いだけで彼に口づけする。
返事を待つが、彼はなにも言わない。
もしかしてはしたないとか思われているのではと不安になったが。

「……可愛い」

「え?
んんっ」

ぼそりと落とされ顔を上げた途端、唇が重なった。
息継ぎもできないほど、彼が夢中になって求めてくる。
唇が離れたときには軽く酸欠になっていた。

「今日は夏初の身体に、消えないように僕をたくさん刻んであげる」

愉悦を含み、眼鏡の向こうで歪んだ目にぞくりとし、気持ちが高揚していくのを感じた。

それから――。

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