黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「大丈夫ですよ、解約していてもある程度は履歴が残っています。
同意がいただけるのなら照会しますが、どうしますか」

所長の説明を聞いてほっとした。
晴貴さんはいないが、完全に詰んだわけじゃない。

「私の無実を証明するためです。
お願いします」

「わかりました、すぐに手続きを取らせていただきます。
憲吾も夜桜さんにここまでさせるんだから、それなりの確証はあるんだろうな」

静かな所長の声は憲吾先生に、責任を取る覚悟を問うようだった。

「結婚詐欺ということだが夜桜さんの同意の下、以前の件で資金の流れは確認済みだ。
特に問題はなかったが、このお金が振り込まれたというのはいつの話なんだろうか。
提出された証拠の振込日は、調査以前になっていたが」

「あとだよ、あと!
その証拠は間違って別のものを出したんだ!」

慌てて訂正した憲吾先生を見る所長の目は、親とは思えないほど冷ややかだった。
きっと今は親ではなく、上司として、先輩弁護士として、憲吾先生をジャッジしているのだろう。

「それに詐欺に遭ったヤツらの証言もある」

< 221 / 253 >

この作品をシェア

pagetop