黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「証拠がなんです?
僕が惚れた夏初は断じてそんな人間では、ない」

きっぱりと言い切る晴貴さんの顔を見ていた。
彼は自信に溢れており、ほんの僅かも私を疑っていなかった。

……こんな状況でも私を信じてくれるんだ。

温かいものが胸を満たしていく。
こぼれ落ちそうになった涙を、慌てて拭って誤魔化した。

「オマエが騙されてるだけだろ?
それともグルなのか」

憲吾先生が嘲るが、晴貴さんは少しも揺るがない。

「証拠もあります。
あのパーティ、僕も何度か参加しました。
そこで作った人脈から裏パーティの存在も証言を得ました」

「ほら」

言質は取ったとばかり憲吾先生たちが勝ち誇る。

「参加者のリストも入手しましたが、夏初の名前はありません。
篠木ミチルの名前はありますが」

晴貴さんが置いたファイルをひったくり、憲吾先生は確認している。

「嘘だ。
そうだ、その女がミチルの名を騙ったに違いない!」

「写真を見せて確認してもらいましたが、篠木さんで間違いないということでした。
反対に夏初は見たことがないという人間がほとんどでしたね」

「ぐぅっ」

反論され、憲吾先生は喉を詰まらせた。

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