黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
静かに、淡々と晴貴さんが事実を告げる。

「それ相応の償い、していただきますよ。
結果、法廷に立てなくなっても僕を恨まないでください。
ご自分の責任です」

にっこりと綺麗な顔で晴貴さんが笑う。
けれど眼鏡の奥の目は獲物を追い詰めるそれだ。

「うぐぅ」

もうなにも反論できないのか、憲吾先生は憎々しげに呻いただけだった。

「私、しーらない。
関係ないしぃ」

あれだけノリノリで憲吾先生を擁護し、私を陥れようとしていたくせに、篠木さんが知らん顔して抜け殻になっている憲吾先生を残して部屋を出ていこうとする。

「篠木さん」

しかしそんな彼女に晴貴さんが声をかける。

「あなたに対する訴訟の準備も整いました。
近く、内容証明をお送りいたしますのでご確認、よろしくお願いします」

晴貴さんは彼女を訴えるのは難しいかもしれないと言っていた。
けれど私の知らないうちにここまでやってくれていたんだ。

「だから。
私はやってないし」

強がりながらも篠木さんの声は震えていた。

「では、法廷で証明してください」

「ふん」

虚勢を張って彼女が出ていく。
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