黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
母と晴貴さんのバトルに耐えるためにもう少し飲みたいところだが、薬に影響してくるからジャスミンティに切り替える。

「なあに夏初、もう飲まないの?」

怪訝そうに母が聞いてきたが、お酒には強い私が一杯でやめるとなるとそうなるだろう。

「明日も仕事だからね」

曖昧に笑って誤魔化す。
この話は母たちに聞かせたくない。

その後も母の追求は止まらなかった。
しかし、晴貴さんに完璧に返され諦めたようだ。
そのあいだ、父は黙々と食べて飲んでいたが、家でもおおむねこんな感じだ。

あとはデザートという段階になって晴貴さんはお手洗いへ行った。
たぶん、支払いをしてくるんだと思う。
晴貴さんはそういうところがある。

「ねえ夏初ちゃん。
大丈夫なの?」

晴貴さんがいなくなった途端、母が深刻そうに聞いてきた。

「だから。
晴貴さんは鳥越くんと違ってちゃんとした人だから心配しないで」

どこまでも心配性な母に笑いかけたけれど。

「陽川さんがいい人なのはわかった。
でも、なにか困ったことになってるんじゃないの?」

隣で父が同じ気持ちだというふうに頷く。
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