黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
晴貴さんの腕が、私を包み込む。
ふわりと香る、彼の匂い。
すぐ傍に感じる、体温。
ゆっくり私の髪を撫でる、手。
それらすべてが私を弱くさせる。

「なんで私が、こんな目に遭わなきゃいけないんですか」

「そうだな」

「私、なにもしてないのに」

「わかってる」

しゃくり上げながら話す私に、晴貴さんが優しく相づちを打つ。

「私、憲吾先生や篠木さんに恨まれること、しましたか」

「してないな」

「憲吾先生も篠木さんも――」

「夏初」

――同じ目に遭えばいい。
そう言おうとしたが、晴貴さんの手が遮った。

「それは言ってはいけない。
言ったらそれこそ、憲吾先生や篠木と同じになる」

レンズの向こうから見つめる目は、怒るでもなく優しさをたたえている。
だからこそ、高ぶっていた感情が落ち着いていった。

「あとは僕の仕事だから任せておけばいい。
それ相応の償いをさせてやる」

低く笑う晴貴さんはこれから彼らをどういたぶってやろうかと愉しんでいるようで、背筋が冷えた。

「でも、私にダメって言っていながら自分はいいんですか」

「いいんだ、僕は仕事だからな。
容赦なくやらせてもらう」

ちゅっと軽く彼が、唇を重ねてくる。
そうなのか、と軽く納得してしまう私も、たいがい彼に甘い。
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