黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
第九章 僕が白にしてやる
「夏初。
担当警察官と連絡ついた。
三十分後に出られるようにしておいてくれ」

「はい、わかりました」

事務室に来た晴貴さんに声をかけられ、慌てて返事をする。
そのまま席を立って、今日の仕事の進捗状況を斉藤さんに相談した。

会議室閉じ込め事件のあと、晴貴さんは憲吾先生に和解には応じられない旨と、傷害に監禁、脅迫で追訴すると内容証明を送った。

しかし反省するどころか、反対に傷害で訴えると返ってきた。

『へえ。
そう出るのか』

ふふっと小さく笑った晴貴さんは愉しそうで、背筋がぞくりとする。

『よほど弁護士資格、剥奪されたいらしいな』

すーっと書類をテーブルの上に滑らせ、彼は膝の上に両肘をついて指を突き合わせた。

『いいだろう、望みどおりにしてやる』

僅かに口角を持ち上げ、彼がうっすらと笑う。
それは完全に獲物を追い詰める狩人の顔だった。

そういうわけで、警察に告訴することになった。
告訴とはと一瞬、わからなかったが被害届よりもさらに上、こちらのほうが警察が動く可能性が高いのだという。

「夏初、出られるか」

きっちり三十分後、晴貴さんが呼びにきた。

「はい」

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