黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
もう準備はしてあったので立ち上がり、彼と一緒に事務所を出た。

すでに晴貴さんが話は通してあったので所轄の警察署ではスムーズに担当へと回された。
年配と若い警察官の二人組が対応してくれる。

「同じ事務所の弁護士を告訴するとは穏やかではないですね。
……ひっ!」

年配の警察官は軽口を叩いたが、晴貴さんに睨まれ短く悲鳴を上げた。

そのときの状況やなんかを詳しく聞かれる。

「どんな感じかやってみてもらっていいですか。
あ、いや、被害者役と加害者役は我々がやりますので」

腰を浮かせかけた私を制し、警察官がふたりとも立ち上がった。

「俺が夜桜さん役をやります」

若い警察官が軽く手を上げる。
ということは年配のほうが憲吾先生役か。

「私の前に憲吾先生が立って」

「こんな感じですか」

「はい」

再現するようにふたりが向かいあう。

「話していたら後ろ手に鍵を閉められて。
それで大声を出したら手で口を塞がれて、そのまま……」

私の説明のとおりに彼らはやってみせるがなんかしっくりこない。
大柄な男性ふたりだからだろうか。

「えっと。
面倒臭いんで私がやってみせますね」

< 236 / 287 >

この作品をシェア

pagetop