黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
彼と私を隔てる、薄い一枚の膜が悲しくなったが、それだけ彼が私を大事に思ってくれているのだと嬉しくもあった。

「はぁっ、……んっ……」

熱い息で彼が私の身体を揺らす。
眼鏡の下で難しそうに寄った眉、時折漏れる苦しそうな声。
それらすべてが私の身体の熱を上げる。

「夏初。
……イケ」

低い声で命じられ、目の前が真っ白に弾けた。

「あっ、あっ、あっ」

声にならない悲鳴が断続的に上がり、身体が痙攣する。
脳が痺れて、ひたすら快楽を享受した。

「……は。
夏初」

軽くぺしぺしと頬を叩かれ、意識がようやく浮上してくる。

「大丈夫か」

「……は、い」

心配そうに聞かれ、答える私はまだ呂律が回っていない。
それほどまでに深く、達していた。

「凄く可愛かった」

ちゅっと軽く、彼が口づけしてくる。
それがくすぐったくて心地いい。

「僕はもっと、可愛い夏初を見たいんだけど……ダメ、か」

尋ねてきながらも彼の目は完全に支配者のそれだ。
きっと彼に壊される。
わかっている、けれど。

「……いい、ですよ」

精一杯、彼に微笑みかける。
愛する彼に溺れて壊されるのなら――いい。


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