黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
萌え袖なんてレベルじゃなく袖が長いし、ズボンなんて多少折っても余ってしまう。

「ま、いっか」

少し考えて上着だけにした。
ミニワンピくらいの丈はあるし、いいことにする。
それにどうせ、すぐ脱ぐんだろうし。

「シャワー、ありがとうございました」

「い……え」

ソファーに座っていた陽川さんは振り返ったが、笑顔のまま一瞬、固まった。

「僕もシャワー、浴びてきますね。
喉が渇いていたらこちらをどうぞ。
では、失礼します」

慌ただしく説明して彼はリビングを出ていったが、私はなにかやらかしたのだろうか。

「んー?」

考えるがなにも思い当たらない。
こういう鈍さが鳥越くんと別れた一因だったのを思い出し、気持ちが落ちていく。
若干、暗い気持ちで携帯を見ながら陽川さんを待つ。

「お待たせしました」

少しして陽川さんが髪を拭きながら戻ってきた。
彼が何気なく隣に座り、ふわりと洗い立ての髪のいい匂いがした。

「喉、渇いてなかったですか?」

テーブルの上にそのままになっているボトルとグラスを見て、彼は怪訝そうだ。

「あっ、えっと。
……はい」

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