黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
無造作に上げられた濡れ髪、僅かに上気する頬。
シャワーを浴びたばかりの陽川さんは妙に色っぽくて、目を逸らしていた。

ボトルの中身を彼がグラスに注ぐ。

「……その」

「はい」

陽川さんはグラスに口をつけ、ごくごくと勢いよく飲み出した。

「私、なにかしましたでしょうか……?」

唐突に音が止まる。
彼はレンズの向こうで何度か、大きく瞬きをした。

「すみません、ちょっと意味が……」

「さっき、なにか様子がおかしかったの、で」

いきなり彼が身体を丸め、大きなため息をつくので身体がびくりと大きく震えた。

「……それ」

「はい?」

私のほうも彼がなにを指しているのかわからなくて、首が斜めに傾く。

「狙ってやってたんじゃないんですね……」

再び彼の口から、脱力するように大きなため息が落ちていった。

「夏初さん」

わけもわからぬまま戸惑っていたら、ぐいっと彼の顔が近づいてきて背中を反らしてしまう。

「こういう格好は」

陽川さんの手が私の太股を撫で、背筋がぞわりと騒ぐ。

「今後、僕以外の前で絶対に」

ゆっくりと近づいてくる顔を、間抜けにもじっと見ていた。

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