黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「……やってはいけませんよ」

熱を帯びた重低音が耳もとで囁かれる。
ちゅっと耳の先に口づけし、陽川さんは顔を離した。

「いいですね」

愉悦を帯び、僅かに口端が持ち上がる。

「……はい」

その妖艶な笑顔に操られるように肯定の二文字を口にしていた。

「本当に可愛いですね、夏初さんは」

不意打ちでちゅっと軽く陽川さんの唇が重なる。
そこでようやく、意識が戻ってきた。
途端に火を噴くように顔が一気に熱くなる。

「ちょ」

「ちょ?」

「ちょっと待って、ください……」

そっと彼の胸を押して離れ、私はくたくたと崩れ落ちていた。

陽川さんが新たにボトルの中身をグラスに注いで渡してくれ、それを飲んで気持ちを落ち着ける。

「大丈夫ですか?」

心配そうに陽川さんが聞いてくる。

「今日はもう、なにもせずにこのまま……」

「……する」

小さく呟き、俯いたまま彼の袖を引く。
気遣ってくれるのは嬉しいが私にはもうひとつ、元カレを見返したいことがあるのだ。

「……私と寝るのはつまんないって、言われた、から。
陽川さんを、気持ちよく……」

「夏初さん」

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