黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
もう処女でもないのだし恥ずかしがる必要はないのに、私から出た声は酷く小さかった。

「じゃあ、僕の部屋に来ますか?
ここからさほど離れていないので」

「はい」

私の返事を聞き、さりげなく手を掴んで彼が歩き出す。
徒歩圏内なのかなと思ったら、入ったのは近くのコンビニだった。

「お泊まりに必要なもの、買わないとでしょう?」

「えっ、あ、そうですね!」

私がよっぽど怪訝そうな顔をしていたのか、彼が説明してくれる。
確かに、まさかこんなことになるなんて思っていなかったから、なにも用意していない。

基礎化粧品に歯ブラシ、下着も選ぶ。
消臭スプレーの前でどうしようか悩んだ。
この服のまま明日、出社すればにおう。

「あ、それは大丈夫ですよ。
うちにもあるんで」

振り返ると陽川さんの手には小さな箱が握られていた。

……ちゃんとしてくれるんだ。

当たり前であっても、そういうちゃんとした気遣いが嬉しい。

コンビニを出て、今度は呼んであったタクシーに乗った。
指を絡めて握られた手が楽しそうに上下する。

……今からこの人に抱かれるんだ。

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