黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
そういえば出張中で連絡も入れていないのに、なぜここにいるのだろう?

これで話は終わりだと部屋を出かかった所長だが、なにかを思い出したかのように振り返った。

「そうだ、夜桜さん。
数日休んでリフレッシュしてきてください。
特別休暇です。
私の別荘が空いてますから、よろしければ使ってください」

「いい考えです、所長!
あそこ、温泉もあってゆっくりできますし」

手を叩いて斉藤さんが賛同する。

「えっと……」

「ときどき、職員たちで使うんだ」

困惑して晴貴さんを見上げると説明してくれた。
だから斉藤さんがどんなところか知っているのか。
きっと素敵なところなんだろうなというのは想像できるが、別荘にひとりで行ったところで時間を持て余しそうだ。

「それから陽川先生。
有休が溜まっているので消化してもらわないと困ります。
いいですね」

「は、はい」

晴貴さんを注意し、今度こそ所長と斉藤さんが部屋を出ていく。
ふたりきりになって顔を見あわせた。

「あれって……」

「ふたりで行ってこいってことだろうな」

なんだかおかしくなって、ふたりで笑っていた。

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