黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「こんな可愛い子が晴貴くんのお嫁さんになってくれるんなら、大歓迎だよー。
ねえ、志保(しほ)さん?」

「ええ、もちろん」

微笑みかけたお父さんにお母さんが頷く。
うちの両親に続き晴貴さんのご両親にもプロポーズもまだなのに、結婚の許可をいただいてしまった。

今日は軽い挨拶だけのつもりだったので、また改めてお邪魔すると約束して晴貴さんの実家をあとにする。

「母は僕が中学生のときに父と再婚したんだ。
父とは血が繋がってない」

私が尋ねるよりも早く晴貴さんに言われ、どきりとした。
お父さんが晴貴さんのことを〝晴貴くん〟とくん付けで呼んでいるのが気になっていた。

「僕の遺伝子上の父親は暴力を振るう人でね。
それで母は別れたんだ。
まあ、よくある話だ」

〝遺伝子上の〟とは、実の父親をかなり憎んでいるように感じた。
しかしこれで話は終わりだと言われた気がして、それ以上はなにも聞けなかった。

「今から行く所長の別荘ってどんなところなんですか?
みんなが凄く素敵なところだから楽しんでおいでって言ってくれて」

微妙になった空気を振り払うように明るい声を出す。

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