黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
あのあとも事務所で普通に働いている。
というかほとんどの職員は私を信じてくれていて、また憲吾先生が根拠のないことを言って私を落とし入れ、ひいては晴貴さんを窮地に立たせようとしていると思っていたらしい。

ちなみに私を信じてくれた根拠が、結婚詐欺でお金には困っていないはずなのに、素で言う貧乏性エピソードだったのはいたたまれない。

「ああ。
岬の先端にある、白亜の美しい建物だよ。
ちなみに岬全部、私有地。
あ、そろそろかな」

窓の外に目を向けると道の先にゲートが見えた。
手前に車を停め、晴貴さんが一度降りてゲートを開ける。
戻ってきて車を中へと進めた。

「ここから先は所長の持ち物」

「へー……」

車は森の中を進んでいくが建物はまだ見えない。
緩いカーブを曲がった先でようやく、見えてきた。

「うわーっ」

思わず口から感嘆の声が漏れる。
青い海をバックに白い建物が建っていて、コントラストが美しい。

「素敵なところだろ?」

聞かれてうんうんと頷いていた。

内装も、テレビで見る高級ホテルのようだった。

「本当にこんなところに三日も滞在していいんですか?」

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