黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
篠木さんからメッセージが届いていて、無意識にため息が出た。
私もイケメン捕まえたと写真がついていたが、どうでもいい。
既読スルーすると面倒くさいので、少し悩んで羨ましそうにしているうさぎのスタンプを返しておいた。

「お待たせしました」

少しして陽川さんが髪を拭きながら戻ってきた。
彼が何気なく隣に座り、ふわりと洗い立ての髪のいい匂いがした。

「喉、渇いてなかったですか?」

テーブルの上にそのままになっているボトルとグラスを見て、彼は怪訝そうだ。

「あっ、えっと。
……はい」

無造作に上げられた濡れ髪、僅かに上気する頬。
シャワーを浴びたばかりの陽川さんは妙に色っぽくて、目を逸らしていた。

ボトルの中身を彼がグラスに注ぐ。

「……その」

「はい」

陽川さんはグラスに口をつけ、ごくごくと勢いよく飲み出した。

「私、なにかしましたでしょうか……?」

唐突に音が止まる。
彼はレンズの向こうで何度か、大きく瞬きをした。

「すみません、ちょっと意味が……」

「さっき、なにか様子がおかしかったの、で」

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