黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
いきなり彼が身体を丸め、大きなため息をつくので身体がびくりと大きく震えた。

「……それ」

「はい?」

私のほうも彼がなにを指しているのかわからなくて、首が斜めに傾く。

「狙ってやってたんじゃないんですね……」

再び彼の口から、脱力するように大きなため息が落ちていった。

「夏初さん」

わけもわからぬまま戸惑っていたら、ぐいっと彼の顔が近づいてきて背中を反らしてしまう。

「こういう格好は」

陽川さんの手が私の太股を撫で、背筋がぞわりと騒ぐ。

「今後、僕以外の前で絶対に」

ゆっくりと近づいてくる顔を、間抜けにもじっと見ていた。

「……やってはいけませんよ」

熱を帯びた重低音が耳もとで囁かれる。
ちゅっと耳の先に口づけし、陽川さんは顔を離した。

「いいですね」

愉悦を帯び、僅かに口端が持ち上がる。

「……はい」

その妖艶な笑顔に操られるように肯定の二文字を口にしていた。

「本当に可愛いですね、夏初さんは」

不意打ちでちゅっと軽く陽川さんの唇が重なる。
そこでようやく、意識が戻ってきた。
途端に火を噴くように顔が一気に熱くなる。

「ちょ」

「ちょ?」

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