黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「ちょっと待って、ください……」

そっと彼の胸を押して離れ、私はくたくたと崩れ落ちていた。

陽川さんが新たにボトルの中身をグラスに注いで渡してくれ、それを飲んで気持ちを落ち着ける。

「大丈夫ですか?」

心配そうに陽川さんが聞いてくる。

「今日はもう、なにもせずにこのまま……」

「……する」

小さく呟き、俯いたまま彼の袖を引く。
気遣ってくれるのは嬉しいが私にはもうひとつ、元カレを見返したいことがあるのだ。

「……私と寝るのはつまんないって、言われた、から。
陽川さんを、気持ちよく……」

「夏初さん」

気づいたら、陽川さんの腕の中にいた。

「元カレという男はあなたに、そんな酷い言葉を投げつけたんですか」

彼の腕にぎゅっと力が入り、痛い。

「あなたは悪くありません。
つまらなかったのはその男が下手で、夏初さんを身も心も気持ちよくできなかったからです。
自業自得ですよ」

はっと短く、彼が吐き捨てる。

「でも……」

本当に彼の言うとおりなんだろうか。
いや、やはり私の努力が足りなかったのでは。
とりとめもなく考えが頭の中をぐるぐると回る。

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