黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
……ま、いっか。

別に寝顔を長時間眺められていたからとなにかあるわけでもないし、彼がいいならかまわない。
それよりもあんな時間に焼き肉を食べたというのにお腹が空いていた。

「それは楽しみです」

大きく伸びをし、彼と一緒にベッドを出た。

身支度をし、陽川さんオススメのお店でパンを買い、イートインカフェで食べる。

「美味しい……!」

「喜んでもらえたならよかったです」

コーヒーを口に運ぶ彼に、うんうんと勢いよく何度も頷いた。
今まで食べてきたパンの中でここがダントツに美味しい。

「僕と一緒に住んだら、毎日食べられますよ」

目を細め、陽川さんがにっこりと笑う。

「あー……。
考えて、オキマス」

昨日の今日でいきなりそこまで考えられない。
微妙な笑顔で言葉はカタコトになった。

乗り換えの駅まで一緒だった。

無言で目の前に立つ陽川さんを見上げる。
小柄な私が潰れないようにガードしてくれて、ありがたかった。
満員の通勤列車は毎朝、私にとってはサバイバルだ。

そこまではいいのだが、彼が私の頭上を通り越してその後ろを真っ直ぐに見ているのがわからない。

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