黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
頭が、ふわふわする……。

ガツガツと一方的に蹂躙されるキスしか知らない私にとって、気持ちにあわせて求めてくれる陽川さんとの口づけは未知の体験だった。
気持ちよく心が、蕩けていく。
だんだんと彼のことしか考えられなくなっていく。

「はぁーっ……」

長い口づけのあと、余韻をたっぷり残して彼が離れた。
唾液で光る唇を見せつけるようにゆっくりと舐め、顔を近づけてくる。

「……ね。
キスだけで全然、違うでしょう?」

「はい……」

耳もとで囁かれ、夢見心地で同意の返事をしていた。

そのあとも陽川さんは私を大事に扱った。

「あっ。
あっ、あっ、ああーっ……」

何度目かの絶頂を迎え、短く悲鳴を上げて果てる。
こんなに丁寧に扱われたのも、フリをしなくても達したのは初めてだ。

「ふふっ。
夏初さん、可愛い」

愉しそうに陽川さんが笑い、私も嬉しくて自然と笑顔になっていた。

「僕としてはもう少し、可愛い夏初さんを愛でていたいんですが……」

顔を上げた彼の銀縁眼鏡は汚れている。

「どうします?」

揶揄うように意地悪く彼が笑う。
その顔には僅かに嗜虐の色が滲んでいて、どきりとした。
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