黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
ねっとりとした視線を彼女が送ってきて、ぶわりと鳥肌が立った。
そんな赤裸々な話、しかも会社の社食でできるわけがない。

「あー、私のほうは、まあ」

しかし言わねばしつこく聞かれそうなので、適当に言葉を濁して誤魔化した。

「いいなー。
てかあんなイケメン、どこにいたのよ?
私が見逃すはずがないのに」

そんなの、私に聞かれてもわからない。
けれど昨日の陽川さんの様子からして、あまりあの場の女性と関わりたくなくて目立たないようにしていたんじゃないだろうか。

「よかったわね、鳥越よりいい男に相手してもらえて。
まあ、一晩限りだろうけど」

彼女が油で光る唇を歪めたが、なにも答えずにうどんを啜った。
あの場での出会いはだいたいそうなんだろうが、私と陽川さんは違う……と、思う。
ちゃんと連絡先も交換したし。

午後からも仕事に励む。

「これ、コピー頼む。
十部な」

「わかりました」

年配男性上司から渡された分厚い書類を受け取る。
一枚ずつガラス台にのせ、コピーを取った。
年季の入った旧式のコピー機なので、自動紙送りなどついていない。

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