黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「なあ。
もうすぐ会議なんだけどまだそれ、終わんないの?」

「……え?」

後ろから苛立つ上司の声が聞こえてきて固まった。

「すぐに、すぐに終わらせます……!」

と、私が焦ったところでコピー機はウィーンとマイペースに紙を吐き出し続ける。

「ギリギリじゃねぇかよ」

できあがった書類を掴み、去っていく上司の背中にぺこぺこと頭を下げた。
席に戻りかけたが、事務所を出て給湯室へ向かう。

「……もう、嫌になる」

ひとりになり、膝を抱えて座り込んだ。
毎日毎日、男性社員の雑用を押しつけられ、それをこなすだけで一日が終わる。
こんなことを定年まで続けたくないが、臆病な私には転職の一歩を踏み出す勇気がなかった。

仕事が終わり、更衣室で制服から着替えながら携帯をチェックすると陽川さんからメッセージが入っていた。

【お疲れ様です
昨日は素敵な時間でした
ありがとうございます】

【明日は休みですので
よろしかったら会いませんか】

最後に分身のつもりなのか照れている眼鏡男子のスタンプが貼ってあり、くすりと笑いが漏れる。
送信時間は三十分ほど前、今からでも返事は遅くないだろうか。

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