黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
【お疲れ様です
こちらこそ素敵な時間
ありがとうございました
まだ大丈夫なら会いたいです】

じっと既読がつくのを待つが、なかなかならない。
もう家に帰ったのか、それとも別の用事を入れたのかと失望しながら画面から顔を上げようとしたところで、既読の字がついた。
逸る気持ちを抑え、画面を見つめる。

【よかった】

その文字を見ただけで、気分が一気に上向いていく。

【――まで出てこられますか?

その近くに素敵なお店があるんです】

急いで承知の返事を送り、会社を出る。
駅に向かう私の足は軽かった。

指定の駅を出てすぐに陽川さんは見つかった。

「夏初さん!」

向こうも私に気づき、すぐにこちらにやってくる。

「今朝、別れたばかりなのにとは思ったんですが、どうしても会いたくて」

ぶつかりそうになった人から庇うようにさりげなく、彼は私を抱き寄せた。

「いえ。
私も……会いたかったですし」

頬がほのかに熱を帯び、視線を下に落とすとよく磨かれた革靴が目に入った。
職場のおじさんの、くたびれた靴とは全然違う。

「イタリアンなんですが、大丈夫ですか」

「はい」

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