黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「うまいことやったわね、夜桜」

お昼休み、社食でうどんを啜っていたら篠木さんが目の前に座った。

「まさか、あんなイケメン捕まえるとは思わなかったわ」

「はぁ……」

彼女が大きな口を開けて今日の日替わり、焼き肉定食を食べる。
今日はうどんを選んだのは、昨晩が焼き肉だったのもある。
もっとも、社食の焼き肉は牛バラを炒めた肉少なめの野菜炒めだが。

「私はハズレだったのよー。
あっちのほうもイマイチだし、ホテルの部屋も普通だったし」

残念そうに彼女が、ため息をつく。

「夜桜はどうだったのよ?
あのイケメン」

ねっとりとした視線を彼女が送ってきて、ぶわりと鳥肌が立った。
そんな赤裸々な話、しかも会社の社食でできるわけがない。

「あー、私のほうは、まあ」

しかし言わねばしつこく聞かれそうなので、適当に言葉を濁して誤魔化した。

「いいなー。
てかあんなイケメン、どこにいたのよ?
私が見逃すはずがないのに」

そんなの、私に聞かれてもわからない。
けれど昨日の陽川さんの様子からして、あまりあの場の女性と関わりたくなくて目立たないようにしていたんじゃないだろうか。

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