黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
みんな限界まで使うのとゴミが偏って山になるため、たいてい容器から溢れているのだ。

慎重に紙くず受けを引き出したが案の定、奥にできていた山が一気に崩れてきた。
散らばったゴミを無言で箒を使って集める。
シュレッダー掃除はこういう具合なので、特に誰もやりたがらない。

掃除を終わらせ、書類のコピーを再開する。

「なあ。
もうすぐ会議なんだけどまだそれ、終わんないの?」

「……え?」

後ろから苛立つ上司の声が聞こえてきて固まった。

「すぐに、すぐに終わらせます……!」

と、私が焦ったところでコピー機はウィーンとマイペースに紙を吐き出し続ける。

「ギリギリじゃねぇかよ」

できあがった書類を掴み、去っていく上司の背中にぺこぺこと頭を下げた。
席に戻りかけたが、事務所を出て給湯室へ向かう。

「……もう、嫌になる」

ひとりになり、膝を抱えて座り込んだ。
毎日毎日、男性社員の雑用を押しつけられ、それをこなすだけで一日が終わる。
こんなことを定年まで続けたくないが、臆病な私には転職の一歩を踏み出す勇気がなかった。

< 43 / 287 >

この作品をシェア

pagetop