黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
仕事が終わり、更衣室で制服から着替えながら携帯をチェックすると陽川さんからメッセージが入っていた。

【お疲れ様です
昨日は素敵な時間でした
ありがとうございます】

【明日は休みですので
よろしかったら会いませんか】

最後に分身のつもりなのか照れている眼鏡男子のスタンプが貼ってあり、くすりと笑いが漏れる。
送信時間は三十分ほど前、今からでも返事は遅くないだろうか。

【お疲れ様です
こちらこそ素敵な時間
ありがとうございました
まだ大丈夫なら会いたいです】

じっと既読がつくのを待つが、なかなかならない。
もう家に帰ったのか、それとも別の用事を入れたのかと失望しながら画面から顔を上げようとしたところで、既読の字がついた。
逸る気持ちを抑え、画面を見つめる。

【よかった】

その文字を見ただけで、気分が一気に上向いていく。

【――まで出てこられますか?
その近くに素敵なお店があるんです】

指定された駅は最寄りの地下鉄から一本でいける場所だった。
急いで承知の返事を送り、会社を出る。
駅に向かう私の足は軽かった。

指定の駅を出てすぐに陽川さんは見つかった。

「夏初さん!」

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