黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
裁判では負け、会社は蓄積した三十分の残業代を支払ったのだが。

『当たり前のことで金もらおうとかおかしいんだよ』

と、社内では訴えた元社員に冷ややかだった。

「まあ、別にそこまでは……」

あれは私もそういうものだから仕方ないと片付けている。
……でも、本当にそれでいいんだろうか。

「そうですか。
でも、なにか困ったことがあったらいつでも相談してください」

うんと頷いた彼は、私の現状に気づいているように感じた。

デザートは頼まなくても出てきた。
すでに陽川さんが私に内緒で注文していたらしい。

「うわーっ」

目の前に置かれたパフェでは花火が弾け、【Happy Birthday夏初】とチョコプレートがのっていた。

「喜んでいただけましたか?」

うんうんと勢いよく何度も頷く。

「ありがとうございます……!」

ブーケだけでも嬉しいのに、ここまでしてくれるとは思わなかった。
もう、鳥越くんなんて霞んでどこかに飛んでいってしまう。

喜んでスプーンを手に取る。
落ちそうなほど山盛りのイチゴを慎重に掬った。

「美味しい!」

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