黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
期待が高まる。

飲み物が届き、小さくグラスをあわせた。

「今日も一日、お仕事お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」

くーっと一気に彼がグラスを空ける。
その様子はよほどストレスが溜まっているんだろうなと感じさせた。

「すみません。
ちょっといろいろあったもので」

視線に気づいた彼が、はぁっと重いため息をつく。

「弁護士さんも大変、ですよね」

私はおじさん社員がと愚痴っていればいいが、彼は他人の人生を背負っていると言っても過言ではない。
プレッシャーもかなりあるのではないだろうか。

「まあ、仕事自体はそこまで大変じゃないんですけどね」

彼が曖昧に笑い、察した。
きっと昨日の鹿野谷さん絡みじゃないだろうか。

「でも、こうやって夏初さんと会えたんで、元気になりました」

眼鏡の向こうで目尻を下げ、本当に嬉しそうに陽川さんが笑う。
あまりに眩しいその笑顔に目を細めていた。

すぐに頼んだ生ハムが出てくる。

「食べて食べて」

「はい。
じゃあ、いただきます」

勧められ、フォークを取る。
私が口に入れるのを陽川さんはわくわくして見ていた。

「えっ……!」

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