黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
次々と彼は勧めてくるが、よほど通い詰めているのだろうか。
先ほどの感じだと、ありえる。

とりあえず陽川さんのオススメをシェア前提で頼み、たわいのない話をした。

「そういえば陽川さんっておいくつなんです?
いまさらですが」

年上なのは聞かなくてもわかる。
しかし私より少し上なのか、もっと上なのかは読めなかった。

「僕ですか?
僕は少し前に三十になりました」

「へー。
六つ上なんだ……」

まだ二十代だと思っていたので、私の想定よりも少し上だ。
けれど、言われれば納得の雰囲気ではある。

「ということは、夏初さんは二十四?」

「はい。
それこそ一週間前に二十四になりました」

「えっ、大変だ!」

急に陽川さんが大きな声を出し、驚いた。

「ちょっと……三十分はさすがに……十五分、十五分で戻るので待っていてくれますか?」

「はぁ……。
別にいいですが」

「じゃあ、すみません!
あ、先に食べていていいですので!」

鞄を掴み、ばたばたと去っていく彼の背中を呆然と見送った。

「なにかお仕事でも、思い出したのかな」

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