黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
二度と夏初に関わらないでいただきたい」

凍りつきそうなほど冷たい声で囁き、彼が離れる。

「さ、行きましょう」

今度こそ彼は私を促し、歩き出した。
大きな音がして後ろを確認すると、鳥越くんが崩れ落ちていた。

少し歩いたところで待っていたタクシーに彼は私を乗せた。
店を出る前に呼んでいたようだ。

「今日はこのまま家にお送りしますね」

無意識に手が、彼の手を掴む。

「もう大丈夫ですよ」

そっと彼に抱きしめられ、ようやくほっと息をついた。

「許せないですね、あの男は」

陽川さんの声はフラットなのに、強い怒りを感じる。

「……本当に訴えるんですか」

さっきの彼は本気のように見えた。
訴えられればきっと、鳥越くんは身の破滅だろう。

「そうですねー」

人ひとりの人生がかかっているというのに、陽川さんの声は酷く軽い。

「夏初さんは訴えてほしいですか」

「え?」

尋ねられるとは思わず、彼の顔を見ていた。
けれど暗くて表情はよくわからない。

「いくら僕が弁護士でも、依頼もないのに勝手に訴えられないですからね。
夏初さんはどうしてほしいですか」

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