黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「あーん」

「ふぇっ?」

陽川さんが口を開け、ここに入れろと催促するので再び間抜けな声を発して固まった。

「あのー。
陽川、さん?」

「夏初さんが食べさせてください。
ほら」

再び彼が口を開けるのでスプーンでイチゴを掬う。
差し出す手はぶるぶると震えていた。
スプーンが入り、彼が口を閉じたのでそっと抜き取る。

「ん、やっぱり美味しいですね」

眼鏡の向こうで目尻を下げて彼が眩しそうに笑った瞬間、頭がぼっ!と爆発した気がした。

「ふふっ。
夏初さん、イチゴみたいに真っ赤っかですよ」

おかしそうに彼は笑っているが、誰のせいだと思っているんだ。

支払いは陽川さんがしてくれたが、罪悪感を抱いてしまう。

「その。
ごちそうさまでした」

「いえ。
夏初さんが美味しそうに食べている顔が見られたので、プライスレスです。
こちらこそ、ごちそうさまでした」

「はぁ……?」

なんだかわからないが彼が喜んでいるならいい……のか?

「少し歩きましょうか」

「はい」

さりげなく私の手を取り、彼が歩き出す。
少し行った先にドレスショップが見え、陽川さんは足を止めた。

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