黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「ちょっと待っててくださーい」

「おけー」

軽い調子で言い、先輩は女性たちとその場で話し出した。

「えっ、オマエなに、彼氏できたって篠木から聞いてたけど、これがその彼氏?」

舐めるように彼が陽川さんの頭のてっぺんから爪先まで視線を往復させる。
陽川さんは何事か感じ取ったのか、庇うように私の前に立った。

「そうですが、なにか?」

頭半分下にある鳥越くんの顔を陽川さんが冷ややかに見下ろす。
けれど鳥越くんはかなり酔っているのか、へらへらと笑っていた。

「いや、物好きもいるんだなって。
コイツ、つまんないでしょ?
抱いても反応薄いし」

おかしくもないのに彼が大仰なくらいに声を上げて笑う。
心が、パキパキと音を立てて割れていく。
足もとがおぼつかなくて、陽川さんの腕を掴んでいた。

「あ。
それともまだ、抱いてない?
コイツもー、最悪ですよ。
反対に萎えるっつーか。
だからアンタも、さっさと別れたほうがいいですよ」

強く奥歯を噛みしめて俯く。
夜だからではなく目の前が、暗い。

「ああ。
あなたが下手な元カレですか」

「……あ?」

陽川さんの問いで鳥越くんが固まった。

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